2009年8月20日木曜日

狭き門より入れ~チーム申(佐々木蔵之介主催ユニット)~

今回はAdamさんは登場しません。
私のとっても自己満足的、メモ的な内容ですので、あしからず~。
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狭き門より入れ~チーム申(佐々木蔵之介主催ユニット)~
         2009年8月18日 PARCO劇場にて



-狭き門より入れ、滅びに至る門は大きく、その路は広く、之より入る者
 多し。生命に至る門は狭く、その路は細く、之を見出す者少なし。-
       ~新約聖書「マタイによる副音書」第7章より~

この芝居のタイトルの基になっている言葉である。

時代は、恐らく現代、もしくはもう少しだけ先の未来。
世界中で原因不明の新型ウイルスによる感染が広まり、世界情勢、経済にまで破綻は及んでいる。ただ、その感染者はただ眠り続けるだけで、殆ど、死に至るものはまだ出ていない。

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まず会場に入ってびっくりした。
舞台には緞帳がおりておらず、コンビニエンスストアと思われるセットがライトに煌煌と照らされている。
面食らった!

時間になった。場は暗転した。
けたたましい電車の音、踏切の音・・・・。
舞台上に明かりが照らされた。そこには、コンビニはなかった。
そう、暗い闇のように染められた緞帳の前に、蔵之介演じる、「天野」と市川亀次郎演じる、「葉刈(はかり)」だけが立っていた。
「天野」が電車に轢かれそうになるのを「葉刈」が助ける・・・・そして、「天野」は、その「葉刈」からビラを渡される。
---世界の終りと新たな始まり、更新の日は近い---
そんな場面からこの芝居は展開する。

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会社を辞めた天野は、父親が経営するコンビニへ数年ぶりに帰ってきた。
父親は病に倒れている(ウイルス感染ではなく脳卒中)。
コンビニは弟の雄二(有川マコト)が代理に店長を務めていた。
そして、そこには他に客と思しき二人がいた。

時枝(浅野和之)は、かつて天野の就職先の世話をしたが、その天野により横領事件に加担していることを告発され、会社を追われ、家庭も崩壊、コンビニに入り浸っては何となく毎日を過ごしている。
魚住(中尾明慶)は、父親と弟がウイルスに感染、母親も病床に伏せっており窮乏している。天野らの父親に万引きを見逃してもらって以来の常連である。

兄、天野は正義感の強さと潔癖さで会社のためと思ってやってきたことにより、周囲と軋轢が生まれ、退社に追い込まれた。
弟、雄二は上昇志向の兄と違い、家族や人間関係を大切にしている。3歳の娘、妻、そして父親と同居している。

その他、冒頭に登場した葉刈(彼は、何年か前通り魔によって家族を失い、本人もその後死んだはずだった。彼が本当にこの世に存在しているのかは別として、彼は今、更新の世界のために働いている)、世界の更新に深く関わりのある人間だか何だか存在の知れない男、岸(手塚とおる)を交え、ストーリーが展開していく。

このうち、時枝、魚住、天野が、ひょんなことから「世界の更新」の事実を知る。
そして、その「更新」にこのコンビニがかかわっていることを徐々に知ることとなる。

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世界の更新・・・とは、世界があるべき理想の世界とあまりにもかけ離れた時、それを修正するために、人間が取捨選択により、新たな世界へ行ける人、と、残される人、に分けられるのである。更新された世界に移行した者は、前の世界での記憶を持たない。何事もなかったように生き続ける。
一方、その現在の世界は3年で消滅すると。そして、その更新の日は、3日後だというのである。

コンビニは、その更新の世界への入り口であった。そして、そこにはその入り口を開閉する「柱」と呼ばれる門番のようなものが存在する。それが天野たちの父親だった。
柱は、更新後の世界には行けない。門を閉めなければならないから。
しかし、柱には特典があった。柱が家族と認める者は、取捨選択の際の基準を満たさない者であっても、更新後の世界に行くことができるのだ。
そして、父親は、その柱の後継者として、弟の雄二を指名していた。

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よくある社会風刺的な話かもしれない。
でも、そこにはバランス良く笑いがあって、笑いながら泣いた。泣きながら笑った!・・・・という舞台だった。
悲劇と喜劇はよく似ている・・・というけど(気のせい?)、こんなにそのバランスが保たれた芝居にはなかなかお目にかかれない。そして、ものすごく哲学的だった。

天野が色々なことを知らされながら、自分を省みて、どう生きるか、「生きること」の本当の意味を見出そうとしていく。

劇中、キーになった(と思われる)セリフをいくつか挙げる。

「世の中が結構な犠牲の上に成り立っていることを忘れたくない。今よりマシな社会になっても、それを知らずにのうのうと生きるのは嫌だ。」(天野)

「誰も不幸にならない犯罪と、誰かが不幸になる善行、どっちがマシかは分らんな。」(謎の男"岸")

「・・・前の店長さんは言ってましたよ、人は信用するのが仕事だって。」(魚住)

「俺は純粋によい社会を望んでる、それだけだよ。」(葉刈)

どんな人間が、更新後の世界に行ける資格があるのか?
自分の今までを悔いて、やり直そうとする天野。しかし、柱になることが出来る者もまた、更新後の世界に行くのと同じ資格が必要だった。
いくら人のために・・・・と思って行動しても、偽善では資格を有さない。

その善行は、本当に人のためなのか? 
自己満足ではないのか?
見返りを求めているのでは?

準備段階の更新後の世界に足を踏み入れた天野は、新聞を目にする。
日本の人口は、8000万人。-----そう、三分の一は切り捨てられるのだ。

取捨選択されていく人々。
理想の社会には、切捨てがやはり不可欠なのか?
私は、あなたは、誰かを切り捨てても理想の社会に生きていたいのか?
そう、更新されたあと、その前の記憶は残らない。
しかし、確実に誰かの犠牲の上に成り立っている平和だとしたら?

もし、あと3日で世界が終ってしまうとしたら、私は何がしたいだろう?何が出来るだろう?
特別な何かをするのか? 普通の日常でいいと思うのか?

二つの世界が交差するコンビニ。準備中の更新後の世界に足を踏み入れ、更新後の世界の食べ物を口にした者は、現在の世界に戻ってきたときに、その人であることを認識されなくなる。
劇中、天野は準備中の更新後の世界に足を踏み入れる。そして、認識されないことを条件として現在の世界に戻り、雄二に訊くのだ。

もし明日、世界が消えてなくなるとしたら、どうする? と。

雄二は言う。
自分はもう十分色々なものを見てきたけど、娘が可哀そうだと。だから本当ならば色々なものを娘に見せてやりたい。でも、1日じゃそれは無理だ。だから、普通に家族で家で過ごしたいと、一緒に食卓を囲みたいと。

天野は思う。
やりたいことのない自分に。独りぼっちの自分に。
それでも、彼は悲観するのではなく、自分に出来ることを考えていく。すべきことを・・・。

あなたなら、どうしたいですか? 何をしますか?

ウイルスに感染した人間と、感染しなかった人間、どちらが更新後の世界に行けたと思いますか?

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この腐れ文を最後まで読んでくださった方、あなたはとてもいい人です♪
きっと更新後の世界に行けます! ← かどうかは分りませんがw、ありがとうございます
私は読み返したら、恥ずかしくなると思ってちゃんと読み返してません(^_^;)
でも、またA型インフルエンザが流行っているのに、この内容。よく考えると寒いです(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル・・

☆オマケ☆

私は全くの予備知識なしにこの芝居のチケットを取った。
以前より、蔵之介さんが気になった演出家、脚本家(それも無名の)を起用してプロデュースするこのプロジェクトに興味を持っていた。ただそれだけで行くことを決めた。

私は演劇もスポーツもナマが好きだ!
もちろん、音楽もライブが一番楽しいと思う。
リアルタイムってところが魅力だし、芝居は一見、同じことを毎日・・・って思うかもしれないけど、ハプニングがあったりすることもあるし、またそれを乗り切るアドリブもまた味のひとつ。
完璧だって楽しいし、不完全なところも、それはそれでまた楽しい。

アダムはそんな部分で私を魅了した。
歌ももちろんすごいけど、魅せるということをものすごく心得ていて、それがあの意外性(当然「in good way」カーラが言ってたね)につながるんだと思う。
ドラマチック・・・だとか色々言われたけど、それが何?って思う。
いーじゃん! 日常じゃないんだから! 夢の世界なんだからドラマチックでいて欲しいもん!!!

あーー、早くナマAdamが見たいです!!!
でも、その前にラゲヂテイストAdamに洗脳されましたけどwww

5 件のコメント:

  1. 興味深い。じつに。
    哲学のいっぱいつまった 作品なのね。
    なんか リアルタイムでこの作品の存在を知れて
    dekamitさんに とっても感謝です。

    かといって 見に行ける訳ではないのですが
    内容、感想読ませてもらって
    またもや 世界は繋がってて 世界で起こることは
    全部自分と繋がってるー と思いました。

    こういう作品をつくってらっしゃる 作家さん
    監督 役者さん 関係者さん etc.
    いらっしゃって とっても嬉しいです。

    なんだか いろいろな人が作品をつくるのって
    なにか 人間が生きて行くために+になるようなものでなければ 作る意味がないと思ってて。
    (笑いも とっても重要な。一番かも知れない!)
    そういう作品に出会うと とても幸せ。

    更新後の世界に行きたいとは思わなくて、
    もし最後の3日間をすごすとしたら
    できるだけ 家族3人でわらいまくれることを
    したいな とおもった。


    ドラマチックがいいやんね!!!
    そうだよね!
    日常でない世界につれてってくれるから
    好きなんだよねーアダム。

    アダムは日常をしっかり
    楽しく生きてね っていつも言ってるようにおもってる。自分の人生をいきろって。でそう生きれるためのひとつのツールがアイドルね。

    そこわかってるから すごいんだよね〜

    なまあだむ いつみれるんだろう!
    けつあつが、、

    感染した人しなかった人 どっちがいけたのかわかんないなー

    人のために無償の愛をそそげる人が 一番幸せだと思う。

    いつかそうなりたいけど 全然むりだす。

    ごめんね いっぱいわけわからんこと書いて。
    おもしろかった〜!
    頭がぐるぐる 回転するのって たのしい〜

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  2. @5senseさん

    わけわからないreviewに付き合ってくれてありがとう!

    >もし最後の3日間をすごすとしたらできるだけ 家族3人でわらいまくれることをしたいな とおもった。

    ステキだなーっと思う。
    私も笑いまくりたいなーとは思うけど、今は一緒に居たい人いないかんねーww

    でも、こうして色んなこと自由に出来て、おかげで5senseさんや色んな人に出会えて、比較的現状に満足してるかも。

    人生・・・昔から哲学っぽいこと好きで、時間ってなんだろう?とか人生って?とかバカみたいによく考えてた。今もたまに考えるw

    こうして日々過ごしている事実も誰かの夢の中の話なんじゃないか?とか、アホみたいなことも考えるし、時間のパラドックスみたいなことも考える。
    宇宙ってどうなってんだろう?とか、終わりがないっていう概念は理解できないから、メビウスの輪みたいに捻じれてて、終わるようで終わらないんだろうか?とか、
    色んな選択をしてきて今があるんだけど、違う選択をした自分も違う次元で違う人生を送ってたり・・・とか、
    アホっぽいこと考えて、一人盛り上がったりしちゃいます。

    んー、私も何書いてんだろう・・・。
    ぐるぐるしちゃった(^_^;)

    とにかく、コメントありがとう!ってことなんでした♪

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  3. @5senseさん

    付け足しー。
    5senseさんは無償の愛って持ってると思うよ。
    だって、お母さんだもの!

    母親ってすごいなって、いつもソンケーしてます。

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  4. 私は前世では ずーーーーと男で
    今回初めて 生んだんだそう。

    私は今回はこういう勉強を選んだ人生。
    家族を持つことで 愛情の勉強をしています。
    私には子を持つことが必要だったから授かったとおもってるの。

    無償の愛!
    お母ちゃんでも持ってない人もいるし
    で、なくても 持ってる人はいるよー!


    わたしも 毎日あそんでもらって たのし!


    たくさんいろんな良いものを見れるのは
    本当にほんとうに すばらしいです。
    また どしどしdekamitテイスト 教えてね〜!

    そうそう アホっポイこと考えるー!
    ゼーンぶ 自分が作り出した世界にいてたり って思ったりする時ある。

    ふしぎだわーぜーんぶ。

    あと 思うのは 人間が最後の人見つけるの好き。
    あるいみ 神に近い人。
    たくさんの人にすばらしいものを与えれる人ー
    アダムはどうかな?って思ってる所なの。

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  5. @5senseさん

    前世! え?見てもらったことあるんだー。ほぉーぅ!
    そういえば、FOXでやってるゴーストだったと思うんだけど、上手く生きられなかったから、生まれ変わるみたいな話があった。
    あと、誰かが(島田紳助カナァ)、上手く立ちまわれる人は長いこと人間として生まれ変わってて、立ち回りが下手な人は、人間初!みたいなこというてた。

    そーかー、でもそしたら、私はどんな使命があるんじゃろ?じゃろってなんじゃろ?ww

    私は宗教的なことちんぷんかんぷんだけど、神も鬼も、天使も悪魔も、それぞれ良いこともするし、悪いこともするだろーし、そういう意味では、小悪魔くんってイメージかな、アダムは。矢じりのようなしっぽと黒い羽根が似合うもの♪

    子供のころに読んでた「悪魔(デイモス)の花嫁」ってマンガを思い出したー。

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