2011年6月28日火曜日

パルコ・プロデュース『幽霊たち』観劇メモ


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日時:2011年06月22日(水)18:30開場/19:00開演
場所:PARCO劇場 座席:D列23番
原作:ポール・オースター 翻訳:柴田元幸
構成/演出:白井晃
出演:佐々木蔵之介/市川実日子/有川マコト
   細見大輔/斉藤悠/原金太郎/奥田瑛二
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芝居は好きな割に小説を殆ど読まない私がこの芝居を観に行こうと思った一番の理由は、
勿論、蔵之介さんが主演だから…というのが一番のきっかけだが、次にPARCO劇場であったこと、演出が白井晃だったこと、が挙げられる。
PARCO劇場は、実は私が人生初に自分でお金を払って芝居を観に行った場所なのであるが(もうそりゃーすごい昔ですよ!)、演出に新しい試みをする実験的な演劇がよく行われる場所なのである。
ま、そんな風に言いきってるけれど、小劇場入れたらもっとすごいところがあるのかもしれないが、とはいえ、私の観劇の歴史においては、ちょっと変わったことをしてくれる劇場の一つなのである。
・・・ついでなんで、『幽霊たち』の感想の前にPARCOさんのことを少し。
そのン十年前の初めての観劇の時に感激したのは、歌舞伎の劇場でないのに、回り舞台がある!ということだった。
小さいスペースでなんとか賄うために設置されたのかもしれないが、それを上手いこと利用した演出が秀逸。空間が一気に拡がって奥行きが増す。
単にセットを早く替えるためだけに利用するのではないのだ。ドリフとは違う!!(この表現わかるかな~笑 歳ばれますね?)
しかし、今回はそんないつも効果的な演出をしてくれる回り舞台ではなく、
何と、 役者が回りまくった!! のだ。
”役者は馬鹿じゃできない!!”というのを見せつけられるほど、台詞、体、間(時間と空間)を使って、ストーリーの世界観をずどーんと感じさせてくれた。

ストーリーの初めからドキっとさせられた。
時間になり暗転する劇場。次に明るくなった瞬間にセンターにひとりブルー(蔵之介さん)が立っている。
え!? いつの間に…?
ブルーは語り出す。ブルーである蔵之介さんの台詞の多いこと。
自分の台詞だけでなく、ナレーションの役割もしているのだ。
セットはほとんどなく、たまに出てくる本棚のような仕切りとブルーとブラックが座る椅子と机、そしてベンチ。そんな感じだ。
そのわずかなセットと人の動きで時間の動きや風景の動きを感じさせるのだ。
街を歩くシーンも少ない出演者が黒子のような存在感で、左から右へ、右から左へ、奥から手前、手前から、、、というように交差して行く。
この技法はちょっと狂言を彷彿させた。
狂言は、狭い四角い舞台(舞台までの通路はあってもメインは四角い空間だけ)で、その真四角な空間の四辺と対角線を歩くことによって、時間と場所を変えていく。

歌舞伎より狂言を観ることが多くなってから、この殆ど何もない舞台の上で空間と人だけを使って魅せるっていう技法がたまらなく好きになった私にとって、想像力をかきたてられるこの演出はたまらなかった。

しかし、役者は本当に大変だったと思う。
私は最初こそ、
 「蔵之介さん、台詞も多いし、動きも難しいし、大変な舞台やってるなー」
と感心しながら観ていたけれど、途中からは世界観に引き込まれて忘れていたけど、
本当にお疲れ様です!!な舞台です。
あれを一日2回とか、全くもって頭が下がります。

さて、ストーリー。
これは小説を読んだことのある人の方がよくわかるでは…と思うが、全くの先入観なしで私が感じたことを…。
正直、すごい難しい。言葉に表すのが、というより、感じた(受け取った)ものは確かにあったんだけれど、あまりに深層レベルで言葉に出せない感覚。
話の骨格だけを与えられて、どう感じるかは、人生の答えが人それぞれであるように、別であってもいいし、答えすらなくたっていいし、それこそミステリアスで自分次第だと。

…とこう言葉にしちゃうと、何だかこのストーリーの本質を損なう気すらしてしまうのだが。

キャストが名前ではなく、単なる色であるところも、作者は名前による先入観を与えないようにしているのでは?と思えてくる。
とはいえ、ホワイト・ブラックは白と黒、光と影、みたいに一対になっている訳ではあるが、その色だって人の目にどう映るかであって、絶対的なものなんてない訳で…。
…と延々メビウスの輪のように、思考が回っていく。
ブルーが最後に自分を、自分なりに認識して、明日に向かって行ったように。
自分なり、その時々に、その時自分で決めた道、やり方で今日からも生きていく。

またひとつ、強くなりました!(笑)

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追記
この芝居を観に行った日は姪の3周忌でした。
芝居は夜だったので、昼に1時間以上の道のりをかけて逢いに行って来ました。
彼女にも、周りに惑わされることなく、彼女なりの人生をもっと自由に歩んで欲しかったけど、何の前触れもなく突然に逝ってしまいました。
私が寿命を全うして、先に逝ってしまった彼女に逢える日が来るとして、その時に「そんな人生じゃ長く生きたって意味ないじゃない?」と言われぬよう、恥ずかしくないように、無理でなく自然体でカッコイイ大人の人生を送りたいと思います。

2011年5月17日火曜日

初心に返って…。


開設は仇さんきっかけとはいえ、見た芝居やらの感想とかもちゃんと書いて行こうと思って始めたブログだったのに、忙しさにかまけて、後半すっかり頓挫してしまった。
昨年は馬鹿みたいに沢山見たのに、勿体無かった。
今年はある程度厳選して観ようと思っているので、初心に返って、また感想を書きたいと思う。

・・・と自分に釘を刺してみる。

一番近い芝居は...6月中旬。佐々木蔵之介さん出演の『幽霊たち(Ghosts)』
楽しみである。



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